嘘つきお嬢様は、愛を希う



「……理月、いい加減にしねえと夕飯抜くぞ?」



にっこりと綺麗すぎる笑みを浮かべながら、風汰先輩は静かに理月の首根っこをつかんだ。


その威圧にひょいっと首をすくめて私から離れた理月は、なにごともなかったかのように欠伸を噛み殺す。


隣に並ぶ銀髪の瀬良さんは、どこか不服そうに「アタシもー」と唇を尖らせているけれど。


……この人は別の意味で何者なんだろう。



「で? 櫂と天馬はどうしたって?」



私から少し距離をとってソファにどさっと腰がけた理月は、いかにも面倒そうに足を組む。



「櫂は下でガキどもから情報を集めてるよ」


「天ちゃんは夕飯の買い出しに…っと、帰ってきたみたいね〜」



瀬良さんの言葉通り、やや乱暴な足音が聞こえてきたかと思うとガチャッとドアノブが動いた。


足で扉を押し開けながら顔を出したのは、両手に大量の買い物袋を抱えた赤髪の少年。