「おいコラ、銀髪オネエのくせに調子のんじゃねえ。またこいつを気絶させる気か」
「わあっ!」
その不機嫌そうな声が途絶えるやいなや、突如として視界が数十センチ浮き上がった。
また別の悲鳴が口から漏れる。
デジャブ感満載の状況に追いつくまもなく、高くなった視界にどアップで現れた顔に面食らった。
「あらやだ、近いわ」
「っ、ちょ……!」
それはこっちのセリフだよっ!
「瀬良──いい加減にしないと怒るよ?」
照れたように体をくねくねさせて、可愛らしく頬に手をあてる"彼"を、力任せに自分の方へ引き寄せたのは言うまでもなく。
心底呆れたような顔をした、風汰先輩。



