嘘つきお嬢様は、愛を希う



「ああそれと、俺のことは忍崎さんじゃなくて名前で呼んでくれると嬉しいな」


「え……風汰、さん?」


「それもこそばゆいね。普通に風汰でいいよ」



そんなことを言われても……。


初対面で歳上を呼び捨てにするのは、さすがに私も気が進まないというか、なんというか。


少し迷ったあげく、おずおずと訊ねる。



「じゃあ、風汰先輩は?」


「うん、まぁいっか。じゃあそれで」



なんとか許可をもらえてほっと胸をなで下ろす。


廊下を歩きながら改めて内装の洒落具合に感心していると、風汰先輩はおかしそうに笑った。