「え?」 「あ?」 自然と口からこぼれでた私の声に、ふと視線を落とした彼とバチッと目線が重なった。 その瞬間、どくんと大きく波打った心臓の音が全身にこだましていく。 ──な、にこれ……。 「そういや、誰だお前」 「っ……」 そう問われるやいなや、私は弾かれるように体勢を直した。 そのまま脱兎の勢いで近くにいた雅さんの背中に隠れて、こっそりと謎の男を観察する。 男は男で突然逃げ出した私に面食らったのか、追うようにこちらを見て、ようやく雅さんの存在に気づいたようだった。