嘘つきお嬢様は、愛を希う



「……そ、それで? そろそろ理月の正体を教えてもらいましょうか?」


「正体も何も──KAZIYAグループくらい知ってんだろ? 俺はそこの代表の次男。逆になんで気づかねえんだ。小さい頃も何度かパーティで会ってるってのに」



KAZIYAグループ、と聞いたらひとつしか出てこない。


椿グループと並ぶトップ企業だ。


なにかと張り合って対立することが多い傍ら、助け合うことも少なくない良きライバルグループ。


……の、代表の次男って言った?



「嘘」


「んなとこで嘘ついてどうすんだよ」



それもそうだ。


けれど、どうしたって……受け入れ難いこの真実。



「ま、俺は次男だしグループは兄貴が継ぐからそこそこ自由にやれたんだよ。……尻拭いにはだいぶ時間がかかったけどな」


「……暴走族の総長なんかしてたらねぇ……」


「呆れた目で見んじゃねぇ。おかげで四年も迎えに来れなかったんだ。いい加減、我慢の限界だっつの」



グイッと引き寄せられて、やや乱暴に唇を奪われる。