「なんでそう何年も前から縁談なんか持ちかけてくるかな……。長引けば長引くほど断るのが大変になるんだよ。お父さんも分かってたでしょ?」
「……いや、だからそれは」
そうやってまた歯切れが悪くなる……!
仕方がない。
天馬の言う会社の体裁のためにも、一度顔合わせだけ済ませて穏便に断ろう。
そうすれば関係者全員もれなく納得するはずだ。
「……日程調整は天馬に任せていい?」
「了解。──桐姉」
「うん?」
「良かったな」
なにが?と聞き返すよりも早く、天馬はパソコンを脇に抱えて部屋を出ていってしまった。
相変わらず、先の読めない子だ。
気心知れた弟だからこそ、秘書として傍にいてくれるのは何かと心強いし頼りにしているのだけれど……。



