嘘つきお嬢様は、愛を希う



「っ……!」



倒れゆく私の目に飛び込んできたのは、ごろごろと廊下を転がっていく天馬と。



「廊下でぴーちくぱーちく騒がしくしてんじゃねえ。ぶっ飛ばされてえのか、天馬」



ひどく不機嫌そうな顔をした、黒髪の男の姿。


倒れそうになった私を体で受け止めてくれたらしい彼は、面倒くさそうに首を回した。


ちょっと、待って。


いまなにが……?


あまりに突然的な出来事にポカンと口を開けたままフリーズしていると、後ろから呆れたようなため息が聞こえてきた。