嘘つきお嬢様は、愛を希う



「良いんじゃねえの。別に結婚するわけじゃねえし、一回やっときゃ体裁も守られるだろ」


「あ、あんたねぇ」


「つべこべ言わずに行ってこいって」



私の目の前でデータを処理していた天馬が顔を上げた。


大学三年生になった天馬は、なにがどうしてそうなったのかもはや分からないけれど、現在私の専属秘書を務めてくれている。


これがまた、異様な変わりっぷりで。


目も当てられなかったあの頃とは比べものにならないくらい、今の天馬は仕事が出来る男へと変貌していた。


生まれてこの方、椿財閥の後継ぎとしてなにかと仕込まれてきた私と違って途中で家を出ていたのに……。


むう、と頬を膨らませながら、私はそっぽを向いた。


ちょっと悔しいくらいなんでもそつなくこなしてしまうから、最近はもはやこのまま天馬が後を継げばいいんじゃないかと思っていたりする。


……それなのに、天馬は決まってこう言うのだ。