「おいコラ、こっち向け桐乃」
「っ……」
思わず右斜め下の方向を向いていた私の顎を掴んで自分の方に向けさせた理月が、正面から真っ直ぐに視線をねじ込んでくる。
自分の心臓の音が全身に響いてうるさい。
……わかってるよ。
私もちゃんと伝えなきゃいけないんだって。
でも、だって、どうしても。
「理月の……その顔は、心臓に悪い」
「はぁ?」
「近い……無理……」
「無理って……お前なぁ、今さらなに言ってんだよ。……ったく、あんまり煽んなバカ」
調子を狂わされたように前髪をかきあげた理月の頬は、寒さからかほんの少し赤いような気がした。
──あれ、と思った次の瞬間。



