嘘つきお嬢様は、愛を希う






退院したその日の夕方、私はあの日飛び込もうとした橋の上にいた。


二メートルほど離れたところには、向かい合うように理月が立っている。


ふたりきりで話がしたい──。


そう言い出したのは理月の方だけれど、この場所を指定したのは私だった。



「……なんでここなんだよ」


「なんとなく」


「俺が困ってんの見たかっただけだろ」


「あ、困ってるんだ」



クスッと笑うと理月が面食らったように眉間にシワを寄せて、前髪をかきあげた。