嘘つきお嬢様は、愛を希う



「……なあ、桐姉。良かったのか、言わなくて」


「うん?」


「……自殺しようとしたこと」


「ああ、それ。良いんだよ、言わなくて」



親も子も、結局は別々の人間だ。


考え方も違うし、生き方も違う。


千差万別、みんなそれぞれ必死に毎日を生きている。



「だって私、もう死にたいなんて思ってないもん」


「……ほんとか?」


「うん。死ぬよりも生きることの方がずっと大変だけど……なんか負けたくないなって思ったんだよね」



華鋼に囚われて、絶体絶命だと思った時。


助けに来てくれた理月の声が聞こえて、意識が戻った。


絶望なんかするわけねえ、なんて、それこそ勝手なことを言ってくれちゃっていたけれど……。