「まぁ理月くんがいるなら大丈夫だろう、と。それに、天馬も男だ。それなりに苦労を知っていた方が将来のためにも良いと判断した」
「……だから、何も言わなかったの？」
「とはいえ桐乃は違うぞ。いくら理月くんや天馬がいるとはいえ、男ばかりの族だからな。……天馬の元に行くと言い出した時はさすがに頭を抱えたさ」
──天馬を連れ戻すために、少しの間家を出る。
私がそう言った時、確かにお父さんは今までに見たことがないくらい硬直していたかもしれない。
あれは怒っているのかと思っていたのだけれど、どうも見当違いだったらしい。
「まあ、結果こうして危険な目にもあっている訳だが……今日お前の顔を見て分かった。変わったな、桐乃」
「っ……」
変わった？
……私が？
