嘘つきお嬢様は、愛を希う



「──母さんが死んでから気づいたことがもうひとつあってな」



話すべきか迷っている様子で立ち上がり、お父さんは私たちに背を向けて窓の外を見つめた。



「子どもたちには同じ運命を辿らせたくないと思った。うちの後継ぎにはならず、確かな形で幸せになる道を用意してやらなきゃならんと思った。それが父親として、わたしが出来る最善の行為だろうと本気で思っていた」


「……天馬を連れ戻して後継ぎにする代わりに、私を自由にする? それとも私がどこぞの御曹司と結婚して、後継ぎを生む? どちらかが犠牲になるそんな選択が、本当に最善の策だと思ったの?」



抑えなきゃいけない、と分かっているのに、どんどん責めるような声音になってしまう。