この、声は……。 弾かれるように振り向いた私の目に飛び込んできたのは、こちらを凝視する──弟の姿。 玄関の扉を開けた状態のまま、いるはずのない私に驚いたように目を見開いている。 「天、馬……」 最後に見た姿とはまるで見違えているけれど、その幼さを帯びた顔は見間違いようもない。 「あんた、よりにもよって赤髪って……」 「いやそれはどうでもいいだろ!? んなことより、なんでここにいるんだよっ!」 見た目だけは真面目くんだったはずの弟が、まさかの赤髪デビュー。