嘘つきお嬢様は、愛を希う



「……私は、知ってたよ」



シングルマザーで子供を育てていくのは、容易なことじゃない。


とくに中学生の息子となればなおのこと。


何に関してもお金がかかる時期だ。


あの頃、定期的にうちに送られてきていた現金について、私は何も聞かなかったけれど……。



「お金の入った袋の中に、いつも手紙が入ってた。お母さんから私宛の手紙。でもお母さんがあんな多額のお金を私に送れるわけがない。元手なんて、ひとりしか思いつかないでしょ?」



送られてきていたお金は、全てお父さんの書斎に置いていた。


お母さんは私宛に送っていたけれど、お父さんがお母さんに送ったお金を私が受け取るのは違うと思ったから。



「……みんな、それぞれ思うところがあったんだよ。今ならなんとなくわかる。お母さんの気持ちも──お父さんの気持ちもね」



それも全て、私が家を飛び出して胡蝶蘭で過ごすうちに客観的に自分たちを見れるようになったからだ。