ドクン、と強く鼓動が胸を打つ。
少し様子を窺いながら、ゆっくりと病室に入ってきた彼は私の姿を見て僅かに目を細めた。
「──まったく、困った子供たちだ」
「っ、お父さん……」
シワひとつないスーツ姿で現れた男は、私の震えた声にふたたびため息をつきながらこちらに歩いてきた。
約1ヶ月ぶりの父親との再会。
戸惑いを隠せず声を発せない私の横で、天馬は決して顔を合わせようとはせず明後日の方向を向いている。
そう、でも無理もない。
天馬に至っては家を飛び出す前から父との面会を謝絶していたわけで──恐らく数年ぶりの再会になるはずだ。
まして、こうして家族三人が揃ったのは、母が亡くなった時以来かもしれない。