「す、すみません」



……なんといっても。


真っ赤に染まった血のような髪。


ぱっと見ではいくつ付いているのか分からない大量のピアス。


首元からのぞく黒々しいタトゥー。


その見た目だけでも、厄介な相手に目をつけられたのは一目瞭然。


ここで問題を起こしたら、目的もなにも始まる前に強制的に連れ戻されてしまう。


そう思うと同時、緊張から背筋にひやりと冷や汗が流れた。



「なにジロジロ見てんだよっ」


「やっ……!」



とはいえ、そんな冷静に考えていられるほど状況は甘くなかった。


覆いかぶさるようにぬっと伸びてきた手に、頭で考えるより先に体が動く。



「いってぇっ!」



その声に、はっと目を見開いて。


目の前に広がるとんでもない光景を認めると、さーっと頭から血の気が引く音が脳に響いた。