……けれど、こんな状況でさえ、深夜の川底にたったひとりで沈んでいるよりはずっとマシだと思えた。


なにもかもを終わらせるために、なにもかもから逃れるために、全てを投げ打とうと覚悟を決めたはずだったのに。


そんなこと望んじゃいけないのに。


浅く息を吐くと、空気に溶けるように白いもやが浮かび上がった。


コンクリート剥き出しの地下倉庫のような場所に、暖房機能などあるはずもない。


話に聞いていた通り、私を攫ったやつはとことん無慈悲なんだろう。


絶賛冬盛りのこの時期に川に落ちて濡れた身体のまま、こんな場所でたったひとり放置するなんて……。


……つめたい。


心も、体も。どうしようもなく。


出来る限り体を丸めて、私は目を閉じる。