ぽたりぽたりと髪から滴る雫が、硬いコンクリートの地面に染みを作っていく。


手足を縛られているせいで起き上がることも出来ず、ただひたすらに広がっていく染みを見つめるばかり。


考える時間はたっぷりあったはずなのに、頭が朦朧としていて、正直いまひとつ状況が呑み込めていなかった。


自殺しようとして、止められて、巻き込んで。


私は本当に、何をしているんだろう。



「……てん、ま……」



──あの子が一緒に川へ落ちた時、別の意味で心臓が止まりそうになった。


川の流れに逆らいながら死にものぐるいで私を岸まで運んでくれた天馬が、どこから現れたかも分からない集団に殴られるところを見て、さらに心臓がとまりかけた。