「ねえ、天馬」
なんの気配もなく天馬に近づいていったのは、他でもないサリさんで。
驚く俺たちをよそに、サリさんはなにを思ったか精一杯背伸びをして天馬の頭を優しく撫でた。
「家族ってかけがえのないものだよね」
「っ、え……?」
「だからこそ、失ってからじゃ遅い。人の命は思ってるよりもずっと儚くて脆いから……あっという間に、その手の中から零れ落ちていっちゃうよ」
戸惑いに瞳を揺らす天馬の手を引いて、サリさんは今度俺の元へとやってくる。
なんとなく──この人と初めて会った時を思い出した。
今にも折れそうなほど小さくて、まるで雪のように真っ白で……本当に天使のような見た目のわりに、とんでもなく強い芯を持っていて。
そう、この俺がつい思ってしまったのだ。
まるで命そのものを具現したような人だな──と。



