屋敷の横に付けられた長い階段は、屋敷のどの階にも入れるように設計されているようだった。
そして屋敷の土台部分は、相当奥行きのある大きなガレージになっている。
軽く10台ほどはトラックが停められるだろう膨大なスペースは、灯りがついていないからか小さなトンネルのようにも見えた。
「二年前に大翔さんがリフォームしてね。元々狭かったわけでもないけど、今は有り余ってるくらいだよ」
「はあ……」
創設者とだけあって、やっぱり胡蝶蘭には思い入れがあるんだろうか。
これだけの建物をリフォームするとなったら、だいぶお金がかかったはずだし……。
瞬時に頭に浮かび出た数字にひやりとしながら、私は改めてまじまじと建物を見つめる。



