「まだスパイも見つかってないしね。こうなったらもう華鋼を木っ端微塵にぶっ潰して全部吐かせるのが一番早いんじゃないかしら。──ねえ、総長?」



聞いてんの?と怪訝な目を向けられるが、俺はふたりから目を逸らし何も答えずに瞼を伏せる。


木っ端微塵にぶっ潰す、ねえ。



「……そんなんで足りるかよ」


「あら」


「俺のもんに手ぇ出したんだ。もう二度と日の目を見れねえようにしてやらねえと気がすまねえ」


「え、きりのんはいつから理月のものになったの?」



──正直。


今一番、感情を抑えられそうにないのは俺だろう。


あいつが自殺しようとしたということも。


それを止めて危機一髪助けたのが天馬だということも。


心も体も首の皮一枚でやっと命が繋がってるかもしれねえあいつを拉致った華鋼も。