「……お母さん、待っててくれるかな」 どうせなら、亡くなった母の元へ行けたら。 ──なんて、こんなふうに自分から命を捨てれば、間違いなく私が行くのは地獄だろうけど。 そう自嘲気味に笑って橋に手をかけた、 その時だった。 「──姉ちゃんっ!」 つんざくような悲痛な声が辺りに響く。 思わず弾かれるように顔を上げると、橋の向こう側から全速力でこちらに走ってくる天馬の姿が見えて。