嘘つきお嬢様は、愛を希う



「……っ」



思わず、息を呑んだ。


沈みゆく夕陽に視線を向ける瞳があまりに印象的で、私は戸惑いながら口をつぐむ。


──〝どこかの誰かさん〟って、どんな人なんだろう。


雅さんにこんな顔をさせる人なんて、とても想像出来ない。



「そうだ、先に言っておくけど」


「は、はい」


「俺はもう胡蝶蘭のメンバーじゃない。君を胡蝶蘭のアジトに送り届けた後の判断は現総長がするから、そのつもりでいて」



現、総長……?


途端に不安が舞い戻ってくるのを感じながら、私は胸の前で両手をギュッと握った。