「あ、あの、雅さん!」 いつのまにか私のキャリーバッグを持ってくれていることに気づいて声をかけると、雅さんは呆れたように目線だけを投げてきた。 「これくらい男が持つのは当たり前だから。君はただ転ばないように付いてきて」 「そんなに私、転びそうですか……」 「ドジな匂いがぷんぷんするよ」 初対面にも等しいのに遠慮のない言葉を投げかけられて、私は少し肩を落とす。 見た目で判断される──という意味の中にドジも含まれるのだとしたら、相当恥ずかしい。