「それにしても制服ぴったりですね、姫さん」

「姫さん美人だからなあ」

「このままずーっとこの学校にいてくれてもいいんすよー、姫さん!」



ちょこちょこと付いてくる下っ端の子たちがやたらと連呼している『姫さん』という言葉。


……これがどうやら、彼らの間で浸透している私の呼び名らしいのだ。



「何度も言ってるけど……その姫さんってどうにかならない? いい加減、小っ恥ずかしくて死んじゃうよ」



何故かは分からないけれど、暴走族総長の彼女の立場にいる人間を『姫』と呼ぶ。


そう教えてくれたのは瀬良さんだった。


そして、そう呼ぶように下っ端の子たちへ仕向けたのも瀬良さんだった。