……それでも、俺の前に現れたのは桐乃のほうだ。 これ以上うだうだ悩んでいても仕方ねえ。 身を屈め、顔にかかる髪を指先でそっと払う。 少しばかり身をよじった桐乃に苦笑して、俺はいつになく穏やかな心で目を細めた。 「……守ってやるよ。お前は、必ず」 ──たとえ 俺が、お前を裏切ることになっても──。