出逢った頃はやたらつんつん尖った頭をしていたくせに、今となっては癖のない髪を後ろにかきあげているだけだ。
それがまた、この男の落ち着き払った雰囲気と相まって妙な色気を醸し出していて──。
「どうも苦手なんだよ。あの人は」
『俺と違って、か?』
「自分で言うかよ。元総長のくせに」
──河神柊真。
第4代総長にして、俺に総長の座を与えた男。
雅さんが総長をしていた時の幹部だった柊真さんは、雅さんが胡蝶蘭を去った後、その母ちゃん的包容力で胡蝶蘭をまとめあげていた。
総長だろうが、お構い無しにメンバーの飯を作る。
掃除もする。
メンバーの体調管理もお手の物。
こんな見た目をしているくせに何かと世話焼きで、今でいう風汰のような存在だったのだ。



