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『ははっ』
族のアジトには不似合いな軽やかな笑い声がひびき、俺はうろんな目をその相手に向ける。
「笑い事じゃねえ……」
『いやいや、そりゃああの雅に突っかかっていったらそうなるだろ。あんま怒らせるなよ』
夜もふけ、皆が寝静まったあとにこうしてテレビ電話をする相手なんぞひとりしかいない。
それが恋人なんていうロマンチックなものなら話は別だが、画面に映るのは歳のわりに精悍な顔だちをした男。
気分が良いわけもない。
しかもあの頃に比べてずいぶん垢抜けているから、この顔を見ているとなんだか腹が立ってくる。



