少しばかり瞼を腫らした桐乃に気付かないふりをして、俺は雅さんたちを見送る。
幹部室に飾ってある写真とは比べ物にならないくらい明るい表情をしたサリさんは、どうやら俺の意図をちゃんと汲み取ってくれたらしい。
最後に「死ぬ気で守りなさいよ」と俺にだけ聞こえる声で釘を刺されたが、まあ気にしない。
んなの、言われるまでもねえ。
「面倒だな、この世界は」
でも俺はこいつの姿を最初に見た瞬間から決めていた。
守るも守らないも関係なく、こいつは俺の特別だから。
そう、全てを知られる前に。
……なにもかも悟られる前に、終わりにすると。



