まあ風汰にせよ瀬良にせよ、ここには『ワケあり』しかいない。
甘っちょろい覚悟のやつは、そもそも幹部なんか昇進せずに終わる。
そう考えれば見た目は無害そうなこの二人にも、それなりに残忍で残酷で冷淡な部分はあるということだ。
「洗い出しに関してはお前らに任せる。そしてとりあえず今後は、より警戒にあたってくれ」
「そりゃもちろん、アタシの可愛いきりのんは全力で守り抜くけど……学校内でも危険があるかもってなるとねえ」
「だからといって、昼間ひとりにさせるわけにもいかねえだろ。櫂さんだって大学があるしな。……ま、俺のそばにいりゃそう簡単には手は出せねえだろうし、出させもしねえよ」
しかしまあ、ずいぶん舐めた真似をしてくれる。
ヤツらの幹部辺りが忍び込んでいるとなれば話は別だが、これほど浅はかな行動を指示することを考えれば、まず間違いなく下っ端だろう。
……下っ端だろうとなんだろうと、見つけたらただじゃおかねえ。



