嘘つきお嬢様は、愛を希う



「あの、ありがとうございました」


「いや、うちの幹部の姉貴となりゃ他人事じゃねえからな。あとのことは雅に任せておけばいい」



とくに大翔さんはこれから娘さんのお迎えがあるからとしきりに時間を気にしていて、一刻も早く出たいというのが顔に書いてある。



「雅、お前も今日は家に帰るんだろ?」


「そりゃ帰りますよ。待ってるんで」


「つくづく羨ましいやつだな。いい加減俺も寂しくなってきたから、近々帰ってこいって伝えておいてくれ。鈴花も会いたいって言ってるんだよ」


「はいはい、鈴花の頼みだけ伝えておきます」



……まあ、私にこの会話の意味は分からないけど。