「しかしまあ、大胆なことをしてくれるわねぇ。今回の件に関しては、さすがにウチとしても見逃せないって感じかしら?」



俺の気配から間に入った方が良いと判断したのか、さりげなく瀬良が本題を持ち込んでくる。



「見逃せない、というよりは、逃れられないの方が正しいかもしれないけどね」



瀬良はこんなナリでも、空気を読むのが上手い。


普段はなんだかんだとやりあっているが、正直助けられていることが多い存在だ。


対して風汰は嫌味なく全体をまとめることに長けていて。


どんな時でも柔らかく全てを受け止めることが出来る、いわばクッション的役割を素で果たしてくれる。


俺が瀬良と風汰に幹部を任せることにしたのも、そういう部分を評価してのことだった。



「……どちらにしても、向こうがその気ならこっちも乗ってやるしかねえだろ」



幹部を任命できるのは総長権限だが、組織だからこそ身近に信頼出来るやつがいるというのは思った以上に大きい。


今日に関しても、俺がいち早く桐乃たちに駆けつけることが出来たのは、襲ってきたヤツらをコイツらが引き受けてくれたからだった。