「あ、あの……?」
「いや、ごめん……だってなにあれ。近年稀に見る不器用っぷり。昔の雅より酷いよ」
「ええ……?」
なにを言っているのか分からず困惑していると、サリさんは「とりあえず上に行こう」と私の手を引いて階段を上がり出した。
理月はああ言っていたけど、除け者にされたのは恐らく私だけ。
サリさんはきっとあの場にいても平気な人間のはずだ。
それなのに付き合ってくれるのは、やっぱりサリさんが優しいからなんだろうか。
そんなことを考えていたら、私が寝泊まりする部屋の扉を開けたサリさんが「うわ」と小さく声を上げた。
「あの頃よりはまだマシになったけど、相っ変わらず族の基地に似合わない内装ね……」
「あ、この部屋ですか? たしかにちょっと乙女チック過ぎるとは思いました」
思わずくすっと笑うと、サリさんはこちらを振り返って優しく微笑み返してくれた。



