「あの、今日襲ってきた人たちって、やっぱり昨日の人たちと同じ暴走族なんですよね?」


「そう、華鋼っていうところの下っぱたちよ。幹部組が出てきてないところを見ると、まだ本戦に持っていくつもりはないみたいだけど……」



瀬良さんは自分の銀髪をくるくると指先に絡めながら、悩ましげに唇を尖らせた。



「まぁ向こうとしては、きりのんの身柄を盾にしてこっちが派手に手を出せないようにしたいんでしょうね。相変わらずやることがゲスいわぁ」


「でも私は、その、胡蝶蘭とは直接的な関係ないのに……」


「そんなことはどうでもいいのよ。向こうはね、女子供でも平気で手を出すろくでもない連中だけど、うちはそういうの御法度だから。ある意味、一番の弱点であるそこを突きたいのよ」



同意するように風汰先輩も頷く。


どうやら総長用らしいひとり用のソファに腰がけ、瞼を伏せている理月は、何を考えているのか口を開こうとしない。


もしや寝てるの?と怪訝に思った刹那、不意に理月が目を開けた。



「──来たな」


「え?」



来たって誰が?と訊ねるよりも先に、廊下の先から扉の開く音が聞こえてくる。


ややあって幹部室の扉がノックされ、理月に目で促された天馬が慌てて扉を開けに走った。