「あぶねえな、ほんと」



ため息をつきながらもしっかりと私を支えてくれたのは、言うまでもなく理月で。



「いい加減にしろよ。あんま心配させんな」


「っ……」


「ほら、帰るぞ」



いつもより声音が柔らかいような気がするのは、きっと気のせいではないけれど……。


慣れない優しさに戸惑いながら、私は天馬にアイコンタクトを送った。



──あの話の続きは、また今度。



天馬もそれを読み取ってくれたようで、どこか神妙な顔をしながらも小さく頷いた。


理月のあとを追いかけながら、私はこくりと息を呑む。


あれだけの人数をたったひとりで傷一つ受けずに片付けてしまうなんて、とんでもない強さだ。


大翔さんや雅さんの威圧に似ているようで、また少し違う。


大翔さんよりは残酷で、雅さんほど闇深くはない。


けれど、そこには決して誰も触れられないような孤独を抱えているように思えた。