「救えねえ馬鹿だな、テメェら。あんなもん寄越したら『何か起きてる』って言ってるようなもんじゃねえか」
図星をさされたように渋い顔をする男たちに、私は思わず哀れみの目を向けてしまう。
「んでもって、あんなの足止めにもなりゃしねえ。俺んとこに直接送り込んでくるなら、せめて幹部あたりを寄越しやがれ。暇つぶしにもなりゃしねえだろ」
「え、そこなの……?」
本気で苛立ったように舌打ちをかます理月を見上げて、私は呆然と「やっぱり変……」と呟いた。
「だいたい俺はな、こういうこざかしい手が一番嫌いなんだよ」
「っ、くそ! お前ら、引くぞ!」
「あ? なんだテメェら、人のもんに手ぇ出しといて──タダで逃げられると思ってんのか?」
とんだお気楽頭だな、と言い放った理月は、私を軽く天馬に放り投げると不敵な笑みを見せた。
「言っとくが、俺はそんなに甘くねえぞ」
「ぐはっ」
その瞬間、理月は引け腰で殴りかかってきた相手の男の拳を避け、その腹に深く膝を埋め込んでいた。
「……テメェらが手ぇ出したもんがどれだけ危険なものか、その身をもって知れ」
それからは、一瞬だった。
私の首を絞めあげていた男も含め、理月は一気に襲いかかってくる男達の攻撃を一発も食らうことなく、次々に沈めていった。



