く、くるしい……!
バタバタと暴れる私の前で、残酷にも四人同時に天馬に襲いかかった男たち。
泣き顔から一変、激しい怒りを浮かべた顔で、天馬はまるで別人のように男たちに対峙する。
「テメェら、俺の姉貴に手ぇ出しといてタダでいられると思うなよ……!」
「ぐはっ……! なんだこいつ、強ぇ!」
鍛えこまれた関節技を武器に的確に拳を埋め込んでいく天馬は、意外にもきっちりとした戦い方をしていた。
ただ殴る、蹴るだけじゃない。
……私とよく似た、戦い方だ。
型をなぞり、目には見えない気を感じて。
そう、私の目から見れば天馬が最低限の動きで四人を同時に相手していることがわかる。
でも、これはまずいな、と私は唇をかみ締めた。
決して劣っているわけではないけれど、さすがにその人数をひとりで相手しているため、天馬は私の方まで手が回らない。



