「天馬には、わからないよ」
「っ、桐姉!」
「子どもにはどうしようもないことがあるんだから」
胸の中で渦巻く黒い靄を天馬にぶつけたところで、なにひとつ解決なんかしない。
今にも泣きそうな天馬になんとか微笑んで、『ごめんね』と謝ろうとした時だった。
「──やぁっと見つけたよぉ」
「っ、な……!」
どこからか現れた5、6人の集団に取り囲まれ、私と天馬の顔に緊張が走る。
「なぁんか大事な話してたみたいだけどぉ、ごめんねぇ? うちのボスからお達しなんだぁ……君のみ・が・ら」
「いや──!」
抵抗する間もなく集団のリーダーらしき男に腕を掴まれて、グッと引き寄せられる。
首元を腕で押さえつけられて息が詰まった。



