「……久しぶりに姉ちゃんって呼んだね、天馬」
「っ、それは咄嗟にというか」
なにをそんなに恥ずかしがる必要があるのか、天馬はわずかに耳を赤く染めてあたふたと目を泳がせた。
「ずっとそう呼んでくれてもいいのに」
「呼ぶかっつの。そんなことより」
「わかってるよ。理月に言われなくても、そろそろ話さないといけないなって思ってたし」
歩きながらね。
そう付け足しながら、私は天馬の視線から逃げるように歩を進める。
「とはいっても、私がここにいる理由は単純に天馬の様子を見に来たからだし……。あんたも気になってるのは、そこじゃないんでしょ?」
「……決まってんだろ。俺が聞きたいのは、どうやってここへ来たか、だよ」
どうやって。
それが、ただ交通手段を聞いているのはないのだということくらい私にもわかる。



