「あれ……理月、と先生?」
食堂の入口のところで、さきほど私を教室まで案内してくれた清水先生と立ち話をしている理月の姿を見つけて、私は首を傾げる。
なんの話をしてるんだろう。
そう思った次の瞬間、清水先生がスッとこちらを向いた。
その刃のような眼光に貫かれて反射的に肩が跳ねる。
「や、やっぱり私、あの人に敵視されてる……?」
ドキドキと嫌な音をたてる心臓に手を当てて、なんとも複雑な息を吐き出した。
視線から逃げるように背を向けて、自分の身体を抱きしめるように身震いをする。
ここに来てからというもの、やたら目に見えない鋭利な刃物を突きつけられているからか、いっそのこと理月の隣にいた方が気楽かもしれない……なんて。
……どうしてかは、わからないけど。
今日何度目かわからない溜息を漏らす私の隣で状況を把握したらしい風汰先輩は、あやすようにぽんぽんと肩を撫でてくれる。



