「少し熱持ってるかな。これくらいなら大丈夫だとは思うけど、気になるようなら後で冷やしておくといいよ」
「あ、ありがとうございます」
「……ところで」
スッと目を細めた雅さんの視線に捉えられて、思わずびくっと肩が跳ねる。
「君、この辺じゃ見ない顔だよね。そんな大荷物抱えて、一人旅でもしてたの?」
言葉は穏やかなのに、まるで心の奥底まで探るような目に喉の浅い部分がヒュッと音を立てた。
同時に先ほど気にかかった言葉が脳裏をかすめ、私は今さらながら自分の目的を思い出す。
「そうだ、胡蝶蘭……」
そう呟いた瞬間、急激に周囲の温度が下がった。



