嘘つきお嬢様は、愛を希う



「──これはこれで、問題だな」


「え?」


「なんでもねえ。つかデカすぎだろ、そのジャージ」


「いや、あなたのなんですけど」



ようやくお目にかかれた自分の手にほっとして、改めて自分の格好を見下ろすけれど、その歪な着方になおのこと気恥ずかしくなるだけだった。


絶対爆笑されると思っていたのに、さすがに理月もここまでくると手を出さずにはいられなかったんだろう。


意外にも優しく腕をまくってくれたことに今さらドキッとしながら、落ち着かずにロングニットを抱きしめる。



「……授業始まっから行くぞ。昼休みになったら改めてお前の言い分聞いてやるから、とりあえず授業中は大人しくしとけ」


「もう言い分なんていいよ。言われなくても大人しくするし、迷惑はかけないよう気をつけるから」



上がってきた時よりもゆっくりとした足取りで階段を降りていくと、見知った顔の三人が廊下でたくさんの生徒たちに囲まれながらワイワイ話していた。


彼らは私たちに気づくと、三者三様の反応を見せながら駆け寄ってくる。