嘘つきお嬢様は、愛を希う



「察しの悪いやつだな。その格好だと目立つから着替えてこいって言ってんだ。うちの学校には女子トイレが三階にしかねえんだよ」



……いやいや、そんなの初耳なんだけど。


いったいどこの誰が無言で袋を渡されて、着替えて来いという意味に捉えられるんだろう。



「ここで待っててやるから。五分以内」



あきらかに言葉が少なすぎる理月に面食らいながら、とりあえず私は言われた通りに女子トイレへ入った。


当然のことながら理月は外で待っていてくれているみたいだけど、特別教室階だけあって外は不気味なくらいシンとしている。


ほんとに待っててくれてるよね?


入ったばかりなのに確認しに行きたくなる衝動を抑えて、私は手早く袋の中からジャージを取り出した。


理月らしい上下黒のジャージ。


ズボンを広げてみると、裾部分が危うく床につきそうになって慌てて持ちあげる。