「ちょっと来い」
「え……っ?」
ぶっきらぼうに手を掴まれたかと思うと、理月は私をぐいぐいと引っ張りながら歩き始めた。
途中で廊下に並ぶロッカーのひとつから袋を取り出し、教室の中から興味津々にこちらを窺ってくる生徒たちには一切目もくれず、足早に階段をあがっていく。
「あ、あの、理月?」
いったいどこに行くつもりなの……?
不安に駆られながら三階のトイレ前まで連れてこられた私は、なんの説明もなく手渡された布地の袋を受け取った。
意味がわからず、ぱちぱちと目を瞬かせる。
「これは……」
「俺のジャージ。心配しなくても洗ってある」
「はあ」
そしてこれをどうしろと?
意図が汲み取れず、ジャージの入った袋と理月を交互に見る。



