「っ……泣くんじゃねえよ。これだから女は……」
「な、泣いてなんかないし!」
前髪を掻きあげながら舌打ちをかました理月は、どこかバツが悪そうに顔を背けた。
背中にひしひしと刺さる視線から、ひどく注目されているのがわかる。
同じように感じていたんだろう。
理月が苛立ったように「散れ!」と一喝すると、取り巻きたちはドッタンバッタン音を立てて、各自教室へ転がりこんでいった。
「うぜぇ……」
「…………っ」
売り言葉に買い言葉で、つい言い返してしまったけれど。
理月からしたら、私の突撃学校訪問は予定にない事項だったはずだ。
ましてや総長なんて立場で学校に通っているのだから、面倒事は出来るだけ避けて通りたいに決まってる。
……迷惑がられても、無理はない。



