嘘つきお嬢様は、愛を希う



それどころか、こちらを見ているほぼ全員がポカンと口を開けて、状況を飲み込めないような顔をしている。


櫂さんの言っていた通り、教室の中にも廊下にも見渡す限り男子生徒しかいない。


こんな場所に、ひとり女子を放り込むのもどうかしてるけど。


……もっと意味不明なのは、この男だ。


私をその目に入れた瞬間、授業をしていた教室から飛び出してきて、「なんでここにいる!」と挨拶もなしに怒鳴りつけてきたんだから。


この教室まで連れてきてくれた清水先生という人には、あからさまな敵意を向けられるし……。



「……なによ、私だって来たくてきたわけじゃないのに」



こんなことなら、それこそ本当に嘘でもついて部屋にこもっていれば良かった。


じわりと喉の奥が熱くなって、私は顔を俯ける。