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「…………」
「…………」
がっちりと腕を組み、いかにも偉そうに仁王立ちしながら、ぴきぴきとこめかみを痙攣させる男の前。
私はむすっと膨れたまま、それでも屈することはなく全身で威嚇しながら立ち向かう。
「なんできやがった、このチビ野郎」
「だから言ってるでしょ、櫂さんにそうしろって言われたの!」
「テキトーに断れば良かっただろうが!」
「っ、はあ!? そんな嘘ついてまで断る理由なんかないし、学校にも見学の許可はとってここにいるんだから、理月にはなんの関係もないでしょっ!」
廊下のど真ん中で怒鳴り合う私と理月に、何事かと顔出す他クラスの生徒たち。
相手にしているのが総長だからか、こんな派手に喧嘩していても誰も止めに入ってこない。



