「あ、あの、私コート取ってきます……!」
慌てて部屋を飛び出して階段を駆け上がる。
もともと最低限の荷物しか持ってきていないので、学校に持っていけそうなものはほとんどない。
とりあえず防犯面も心配だし、スマホと財布だけは持っていかなくちゃマズイ……よね。
「というか、こんな格好で学校行って良いのかな……」
制服なんて持ってきているはずもない。
仕方なくドレッサーで身なりだけ整えて、防寒対策にコートを羽織り部屋を出る。
メイクをしている暇はないので、早足で階段をおりながら色つきリップを唇に施した。
もともとガッツリメイクをするタイプではないけど、血色があるのとないのでは大分違ってくるからね。
せめてもの抵抗だ。
「すみません、お待たせしました……っ!」
外へ繋がる二階玄関で待ってくれていた櫂さんは、すでに話を終えたのか、その手にスマホは持っていなかった。
代わりにノートパソコンを抱えている。
どうもこの人にとってノートパソコンは親身一体らしい。



