「龍摩ー、758号室の加藤さんのお孫さんが来てるから、案内してあげてー。」

俺は今、父親の経営している病院の手伝いをしている。

父親は、すごく腕のいい外科医だ。そして、俺の夢は医者だ。

パパの真似っこー、とかじゃない。
なにせ、父親にあったのは医者になりたいと決意しただいぶ後だから。



俺は、生後半年から4歳までを、『ミュージシャン、浜口すみれ』の家で育った。



俺の本当の両親は、俺が生まれた半年後の事故で死んだ。

車で道路を走っていたら、地下水の通っていたパイプが、突然破裂した。その途端、道路は崩れ落ち、直径20メートル程の大きな穴ができた。それも、俺達が乗っていた車のすぐ隣に。今にも崩れそうな所に車があったと、ニュースで見た。




中には、父、母と、俺がいた。2人は、真っ先に俺を車から出したそうだ。すぐに駆けつけてくれた近所の人に、俺を手渡した。
その場には、大人が3人しかいなかったらしく、車を引き上げようにも、動かなかった。崩れるのも時間の問題。
その時だ。地面が崩れ落ちて、車は穴の中へと落ちて行ってしまった。



俺は、覚えてる。車が落ちる直前、父と母は、俺の方をしっかり向いて微笑んだ。それは、切なさと悲しさが混ざったようだった。


それから、俺の記憶はない。


すみれさんに聞く話ではその直後に、救急車、消防車、レスキュー隊が次々と駆けつけた。そして、何とかして車を引き上げた。すると、2人はまだ呼吸をしていたそうだ。



急いで救急車に乗り、集中治療が始まった。

そのあいだ、母の手から俺を受け取ったすみれさんは、一緒に救急車に乗り、ずっと俺を抱きしめてくれていた。これは、お医者さんに聞いた。


俺は、しばらくしてからこの事実をしっかりと理解した時、大泣きした。悔しかった。悲しかった。苦しかった。そして、この時2歳の俺は、医者になると決めた。

(今の親とは、むっちゃ仲良し。)



こんな所で、すみれさんの家でのことでも話そうか。

すみれさんの家は、見渡す限り、どこもかしこも様々な楽器が置いてある。

金管楽器、木管楽器、打楽器、その他にも、名前が知らないものが沢山ある。楽器全部を使ったら、オーケストラが何個も出来ることに間違いない。

それは全て、すみれさんのもの。すみれさんは、その楽器全てをできる。

そして、全て、俺に教えてくれた。ひかしてくれた。吹かせてくれた。鳴らさせてくれた。

その中でも俺は、ギターの形をした「ベース」と呼ばれるものに興味を示した。

すみれさんがそう呼ぶから、きっとベースという楽器。

かつて、「モッチッチだよ」と教えてくれた楽器、本当の名前はもっきんだった。
(俺は見事にはめられた。ww)


10歳になった今や、ベースならすみれさんより断然上手い。
もちろん、今でもすみれさんの家には遊びに行くよ。

それからね、すみれさん、有名人だから、友達には言ってないんだ。ベースのことも。なんでって聞かれた時に、すみれさんの名前出せないもん。



ここで、学校の話。

みんなと仲良くしてる。輪の中心より、少し外側辺り。でも十分。

頭の良さは、いいほうだと思う。医者を目指してるからには、受験生じゃなくとも、5時間は勉強する。(主に医学)

これを、3歳から毎日続けている。今の実年齢は10歳だけど、大学生レベルも遠に超えてる。



【頭が良くて、医者になりたくて、悲しい過去がある、10歳男子。(ベースもできる)】
認めたくはないけど、友達にはスケベとか、エッチって言われる。認めたくはない。




俺からの滝口龍摩(自分)の紹介は終わり!
聞いてくれてありがとうございました。